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2018年9 月11日 (火)

ALL白血病細胞が中枢へ転移するメカと抑制薬

ALL白血病細胞が中枢へ転移するメカと抑制薬

Nature 8月号から。Misatoちゃんのプレゼン。固形がんの脳転移の多くが脳実質にみられる一方、急性リンパ性白血病 (ALL) の転移は軟髄膜領域においてみられ、稀な現象であること、Idelalisib (PI3Kδ阻害薬) はALLマウスモデルのCNS転移を抑制することは知られていた。しかし、IdelalisibはBBBを通過できず、ALL細胞の増殖能など直接的な作用はないことからメカニズムは不明であった。Idelalisibはα6 integrin発現を抑制する。α6 integrinは、laminin陽性の脳微小血管と相互作用する。ゆえに、ALL細胞は骨髄とくも膜下腔を直接通過する血管(基底膜のlaminin)に沿ってCNSに侵入し、この現象は髄液内のケモカイン (CXCL12) により誘引されているという。ただ、血管腔内の血液を介しない、血管の外側を介した浸潤メカニズムがイメージがあまり湧きにくい。臨床においてもα6 integrin発現が高いALL細胞はCNS転移能が高いという。IdelalisibはCLLの治療薬としてのFDA認可を受けている薬であるが、今後、ALLの治療薬との併用薬として重要な位置を占めるかもしれない。

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