2016年11 月28日 (月)
母乳の重要性母乳の重要性
Cell 5月号から。B3のYu-Ka ちゃんの初プレゼン。誕生した瞬間から新生児の腸には様々な微生物が棲み始める。今回のセミナーは、母乳由来の抗体と乳児の腸管免疫の関連性をクリアに明らかにした重要な論文。母乳中に多く含まれるIgAは、腸内の免疫の恒常性維持に重要であることはよく知られていたが、IgA欠損症患者でも、無症状であり、他の免疫グロブリンの関与も示唆されていた。この論文では、IgG3が幅広い腸内細菌を認識する抗体であることが明らかになった。IgGは胎盤を通して母体から移行することができるが、血液中のIgGは新生児時の腸内恒常性維持には関係なく、母乳中のIgGとIgAが協調しながら、新生児時の腸管粘膜のヘルパーT細胞の活性化を抑制でき、成人になると自ら産生した抗体が腸管バリアーとして機能していることが明らかになった。母乳で育てられていないヒト新生児が腸炎になりやすいかどうかについては結論はこれからだろうか。ラクトフェリン等、母乳中に含まれる他の成分との関連はどうなのだろうか。