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2015年6 月 9日 (火)

飢餓状態時に膵β細胞がインスリン分泌を抑制するメカ

飢餓状態時に膵β細胞がインスリン分泌を抑制するメカ

 

Scienceの2月号から。Tsubasa君のプレゼン。オートファジーはインスリン分泌を促進する作用があることは知られていた。本研究において、栄養飢餓時の膵β細胞ではインスリン顆粒の分泌を抑制し、リソソームにてそのインスリン顆粒を分解する(これをStarvation-induced nascent granule degradation :SINGDという)ことでインスリンタンパク質をエネルギー源として、結果的にオートファジーを抑制するという。ゆえに、強制的にオートファジーを誘導するとインスリンの分泌が増加するという。これは、細胞内のタンパク質を非選択的に分解する通常のオートファジーではない。膵β細胞においてはSINGDによりインスリン初期分泌顆粒のみを分解する。分解産物としてアミノ酸が増加するのでリソソーム膜でmTOR活性が上昇し、それが通常のオートファジーを抑制するという。膵β細胞において、栄養飢餓時には、p38δMAPキナーゼが活性化された結果、PKD1がリン酸化され不活性化され、SINGDが起こるという。PKDは栄養があるときは、活性が上昇して、インスリン分泌を促進することは報告されていた。膵β細胞ならではのオートファジー非依存的メカニズムらしい。

 

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