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2015年4 月15日 (水)

処方箋監査:医療の監査役としての薬剤師の役割

処方箋監査:医療の監査役としての薬剤師の役割

昨日、学部1年生向けの薬学概論の講義があった。永井先生には長年、ご講義をお願いしている。薬学教育が世界標準の6年制になり、薬剤師の資質向上も期待されているが、実態はまだまだであるという。現在、敷地内薬局がどうのこうのというのが、まるで医薬分業の問題のようにすり替えられているが、本来は、そうではないという。薬局が病院の敷地内外にあるかどうかではなく、薬剤師の処方監査という、医療の現場のダブルチェッカーとしての機能を果たしているかどうかが重要であり、そのためには、医師や歯科医師が、薬剤師無しに、例外的に調剤できるという法律を改正することが国会において議論すべきことであるという。薬による医療過誤から患者を守ることこそが使命であり、決して、便利さや経営的なことを問題にすべきではないことは言うまでもない。先進国において、医師や歯科医師でも調剤できるようにしている国は日本くらいだという。本来の医薬分業という観点から後進国である。日本は、処方監査が無くても良いと言っているのと同じである。本来の医薬分業は何なのか、薬剤師は処方のダブルチェッカーとしての力量が備わっているのか、6年制の薬学教育における実習等で、処方監査力を付ける教育がなされているのか、医師側も処方監査の重要性をどう認識しているか、などなどを、今一度、考えるべきという。最近、大規模病院の薬局長などから、最近の6年制教育を修了した学生より、4年+修士2年を修了して薬剤師になった昔の学生の方が力量があり、問題解決能力などが良かったように思うという話を聞いた。6年制卒が、数がまだまだ少ないので、どちらの教育体制が良いか悪いかは、一概には言えないだろうが、「医療現場において、客観的な視点を有する科学者=薬剤師」を養成することこそが、本来の医薬分業の成立に貢献するのであろう。科学を実務体験するためにも、最先端の研究を薬剤師を目指す学生に課すことは極めて重要であることは言うまでもない。本来の医薬分業のためには、医師法、歯科医師法、薬剤師法の該当法律の例外規定の削除という法律改正と、可能なら薬学博士の義務化が良いのだろう。フランスなどでは、薬剤師になるのに10年かかるという。医師と同じレベルで議論でき、監査もできるためにはこのくらいの期間が必要なのだろう。

  大学生の角帽の本来の意味も学んだ。4つの角は、哲学、法学、天文学、薬学であるという。人類の歴史において、極めて重要な学問の一つであるという。薬師寺など、薬に関わる歴史的な建造物は多いという。薬学は、そのような背景がある学問であり、人類を守るという大義がある。今こそ、資質が問われている。

 

 「薬剤学」に掲載された、崇城大学薬学部学部長の 巻頭言も重要な内容を含んでいます。ファイルはこちらをクリック 75-3_135-136をダウンロード

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