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2014年11 月18日 (火)

新しい抗がん薬候補 TOPK阻害薬

新しい抗がん薬候補 TOPK阻害薬

Science Translational Medicineの10月号から。Normanのプレゼン。本研究では、乳がんや肺がんにおいて発現が高く、正常細胞では低いTOPK (T-LAK cell-originated protein kinase)は細胞分裂時にヒストンH3のリン酸化しているが、これを抑制することにより細胞の不完全分裂が起こり、アポトーシスを誘導することがわかった。肺がん患者の予後不良とTOPK発現量に高い相関が認められるという。見いだされたTOPK阻害薬をリポソーム製剤化し、白血球減少症という副作用が軽減され、本阻害薬は従来の抗がん療法抵抗性を示すTriple negative breast cancerの患者に対して新たな治療薬として応用できる可能性があるという。今までの抗がん薬と異なるポイントは、ガンの増大を抑える薬はこれまでもあったが、完全に消滅させる薬は極めて稀であり、TOPK阻害薬をそれを実現できたことである。本論文のタイトルもTOPK inhibitor induced complete tumor regressionとなっている。このcompleteに強いメッセージを感じる。これが臨床で証明されれば画期的な新薬になる。来年からPhase Iが開始されるらしい。

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