2013年10 月29日 (火)
核のLamin Aが細胞外環境変化による細胞分化に重要な役割核のLamin Aが細胞外環境変化による細胞分化に重要な役割
Science 2013年8月号より。組織の硬さには細胞外からのメカニカルストレスが重要であることは知られていた。たとえば、Mechanostatによって組織の硬化や成長が促進されるという。本研究では、細胞外マトリックスの硬さが、LaminAのリン酸化状態を変化させ、LaminAの量の増減をコントロールし、その結果、核の硬さ(核膜の張力)、さらには細胞の硬さに影響するということを明らかにした。たとえば、硬いマトリックス(High stress)では、骨の分化が促進され、柔らかいマトリックス(Low stress)では、脂肪細胞の分化が促進されるという。細胞の足場となる細胞外マトリックスによる力学的制御が重要であり、この論文の面白さは、核内構造体であるLamin Aがマルチファンクショナルな分子であり、我々の各臓器の硬さぐあいを決定し、各臓器がメカニカルストレスに対応するために重要であることを明らかにしたことであろう。細胞におけるLamin Aの含有の程度が細胞の硬さ(分化の方向性)を決める。Lamin Aのノックダウンにより脂肪分化が抑制される。Lamin Aの過剰発現は骨形成が促進される。Lamin AのノックダウンでSRF関連タンパク質やYAP1タンパク質の細胞質移行を促し、過剰発現は核移行を促進する。LaminAの発現制御にはレチノイン酸受容体の活性化により促進される。などなど、興味深い報告である。今日はプレゼン2回目のB3のMisato-chanのナイスプレゼンでした。次第に力を付けていっていますね。