2013年6 月 5日 (水)
細胞もドレスを着る細胞もドレスを着る
PNAS 5月号から。Kameちゃんの紹介。活性化したNK(ナチュラルキラー細胞)細胞を用いたがんの免疫療法で効果を上げられなかった症例では、活性化されたNK細胞が急速に細胞死を起こしてしまっていること、ガンをターゲットにした活性化NK細胞がガンを攻撃した後、正常な状態に戻っていく(NK細胞がいなくなる)こと、についてのメカニズムは分かっていなかった。今回の論文では,「NK細胞は、ガン細胞上のNKGDL2分子認識し、活性化し、ガン細胞を攻撃し、その後、ガン細胞のNKGDL2をNK細胞が奪い取り(Trogocytosis)、NK細胞自らNKGDL2を表面に提示することにより(ドレス現象)、他のNK細胞から細胞死を誘導される(兄弟殺し)という一連のメカニズム」を明らかにした。ゆえに、NK細胞のドレス現象を制御できれば、がんの免疫療法の効果を増強することができるという。しかし、逆に、制御できなければ、NK細胞を用いた、がん免疫療法は方法的に難しいということを示したようにも思える。いずれにせよ、ドレス現象という専門用語が面白い。ドレスを着るように、細胞がその性質を変えることをいう。