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2013年6 月27日 (木)

加齢による心肥大の原因分子

加齢による心肥大の原因分子

Cell 5月号から、Mockが紹介。加齢により高血圧になり、心臓への過度の負荷により心肥大が起こるといわれていた。この加齢による心肥大のメカニズムに真のメカニズムを明らかにしたのが今回の論文。結論は、加齢による心肥大は、高血圧によるのではなく、加齢に伴って、血液中のGDF11という分子が減少し、このGDF11が心肥大を抑制的に働いているという。GDF11は若年の心肥大モデルには効果がなく、加齢に伴う心肥大のみを抑制することがわかった。GDF11は、TGF-βスーパーファミリーの1つでTGF-βシグナルを活性化するサイトカインであり、細胞増殖、分化、アポトーシスなどに重要な役割を果たすことが知られていた分子である。この分子を発見した経緯は、外科的手術により2体の動物(ここでは、若年マウスと老齢マウス)の血管をつないで血液循環を共有する,いわゆる並体結合(Parabiosis)という方法を用いて、変化が現れる血液内成分をプロテオミクスで解析している。若年マウスと老齢マウスを並体結合すると、老齢マウスの心肥大が抑制されるという知見等から、心肥大が血液内の成分に起因することに気付き、GDF11にたどり着いたという話。ヒトの血液の分析結果はどうだったのだろうか。すぐに検討はできる話だが、検討したけどばらつきが大きかったのだろうか。ヒトのGDF11の血中濃度はマウスの10分の1であるという。

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