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2013年4 月24日 (水)

潜在的スプライシングの制御機構ー疾患発症と進化に重要な示唆ー

潜在的スプライシングの制御機構ー疾患発症と進化に重要な示唆ー

Aluと呼ばれる反復配列は、ヒトのゲノム中に100万以上ものコピーが存在し、ヒトゲノムの10%以上を占めているという。これは平均すると3000塩基に1個というかなりの割合で分布している。疾患発症あるいは進化とスプライシング異常の関係は示されていたが、そのメカニズムは分かっていなかった。今朝の朝ゼミで紹介された論文Cellの1月号では、hnRNPCというAlu配列を認識するタンパク質が常にpremature RNA上で結合していることで、U2AF65というスプライシング分子が結合できず、異常なスプライシングが起こらないが、hnRNPCの結合部位の変異(U2AF65は結合できる変異)、あるいは、hnRNPCの発現低下で、Alu配列上でスプライシングが起こり、異常なエクソンができる(異常なmRNAあるいはタンパク質ができる)。このことにより、疾患の発症、あるいは進化の可能性が高くなる。大変意味がある重要な研究成果であり、特に進化の議論をする際に、多くの示唆を与えてくれる。私が、20年前にUCSFで研究をしていた頃、lysozymeのゲノム配列を読んでいた時にAlu配列があったことを思い出した。当時は、単なるジャンク配列のような扱いであった。M1のOmachiのナイスなプレゼンでした。

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