2010年4 月21日 (水)
組織修復とガン化促進は表裏!?組織修復とガン化促進は表裏!?
今日は、Immunity3月号に掲載された、腸管上皮の自然免疫とガン化促進に関わる論文をD1のKenちゃんが紹介した。デキストラン硫酸を用いた急性および慢性の大腸炎モデルと、それに加え、ガン化を促すアゾキシメタンを用いたモデルを、caspase 1や12のノックアウトマウスに適用し、それぞれの分子の関与を明らかにした研究である。caspase 12は、caspase 1とNFkBを抑制するcaspaseであり、caspase 1はIL-18を活性体にするcaspaseであり、IL-18は、腸管上皮において,組織修復や細胞増殖に働いている。caspase 12がノックアウトされると慢性炎症からガン化への過程が促進されることを明らかにしている。創薬のターゲットをどこにするかは難しく、ガン化促進を抑制したら組織修復をも抑制することになるという研究成果である。この論文は、炎症関連ガン化において、どこまで普遍的な現象であるかという視点と、それが普遍的であるか否かを証明するためには、さらに、どのような実験が必要かという視点にたって読んでいくことが必要であろう。このような考え方は、自分の実験においても重要であり,自分の研究内容を紹介する就職試験等の面接においても質問されるポイントである。様々な観点から、朝ゼミは将来のための良いトレーニングの場である。