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2017年11 月15日 (水)

慢性的な痒みに対する新たな創薬ターゲット

慢性的な痒みに対する新たな創薬ターゲット

Cell 9月号から。Junのプレゼン。Type2サイトカインが、感覚神経におけるIL-4RaーJAK1経路を介して慢性的な痒みが引き起こされることを明らかにした論文。慢性的な痒みもつ患者は人口の15%を占めると言われている。炎症性の皮膚疾患の原因は様々である。急性の痒みの原因としてヒスタミンやIL-13などの炎症誘導性メディエーターが関与していることは知られていた。この論文では、感覚神経にIL-4,-13, -31のそれぞれの受容体が存在することをまず見出し、これらのサイトカインは単独で、急性の痒みを引き起こさず、唯一、IL-4と低用量のヒスタミンを併用した時のみ感覚神経を活性化し、慢性的な痒みを起こすことを明らかにした。感覚神経のIL-4Ra受容体をノックアウトすると痒みが起こらないことも明らかにし、さらに、感覚神経のJAK1をノックアウトすることで痒みは抑えられる一方、炎症は抑制されないことも明らかになった。最後に、慢性突発性掻痒症の患者にJAK阻害薬であるTofacitinib(トファシチニブ:武田薬品が販売し、慢性リウマチ薬として認可されている)を経口投与すると劇的に慢性的な痒みを抑制するという臨床的にも重要な知見も得ている。これで、慢性的な痒みにもう悩まされることはなくなるか。JAK阻害薬はずっと飲み続けないといけないのかどうかが気になる。

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