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2017年4 月25日 (火)

成人急性リンパ性白血病に対して食事制限が有効!?

成人急性リンパ性白血病に対して食事制限が有効!?

Nature Med. 1月号から。Taiseiのプレゼン。成人白血病の長期生存率(5年以上)は40から50%(治療計画等により異なる)であり、長期の抗がん薬の使用による副作用も問題であるという。小児の急性リンパ性白血病には既存の治療法により90%に効果を示す。この論文は、絶食(食事制限療法、1日おきに絶食を数サイクル行なうだけ)が成人急性リンパ性白血病に有用であることを示し、その作用メカニズムにレプチン受容体の発現増加が関わっているという。このレプチン受容体の発現増加がB細胞、T細胞の分化を促進し、急性リンパ性白血病を改善するという。レプチン受容体の下流にあるPRDM1(B細胞、T細胞の分化に関与する転写因子であり、リンパ系悪性腫瘍におけるがん抑制遺伝子)の発現上昇が重要であるという。これまで、絶食のサイクルが腫瘍の成長を抑制し、化学療法に対する感受性を高めるということ、絶食模擬食によりT細胞の抗腫瘍活性が上昇するということが報告されていた。本論文では、急性白血病患者2023名について調べ、急性リンパ性白血病患者由来の細胞におけるレプチン受容体発現が健常者由来の正常細胞より低下していることも明らかにされている。絶食でもレプチン耐性が起こらないか次第であるが、臨床的にすぐにでも検討可能であり、今後の展開が楽しみである。

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