2016年11 月15日 (火)
アストロサイトとインスリン抵抗性
Cellの8月号から。Misakiちゃんのプレゼン。グルコースは脳で最も消費される。脳内のインスリンシグナル伝達は、中枢と全身の糖代謝恒常性維持に関わることは知られていた。本研究はアストロサイトに注目。アストロサイトにおけるインスリン受容体を特異的にノックアウトしたマウスを作成し、全身グルコース量の増加がどのような影響を及ぼすか検討している。ノックアウトの結果、脳内のグルコース量が減った結果、全身でも低血糖になったと勘違いし、食欲が上昇し、血糖値が上昇し、インスリン量の低下が起こる。視床下部のアストロサイトにおけるインスリンシグナルは、中枢におけるグルコースセンシングと、BBBを介したグルコースの脳への取り込みによる全身の糖代謝も調節していることが明らかになった。アストロサイトはBBBでのグルコース取り込みだけでなく、POMC神経細胞(摂食を抑制する)を通常はインスリンシグナルを介して活性化しているという(ミトコンドリアの維持)。
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2016年11 月10日 (木)
アルツハイマー病の抗体治療
Nature 9月号より。Shotaのプレゼン。これまで失敗してきたアルツハイマー病の抗体治療が、aducanumabというアミロイドが重合してプラークを作る時に新たに生まれる抗原を標的に作成された抗体であり、重合したアミロイドだけに特異的に反応するという。投与後、1年で、用量に依存してアルツハイマー病の進行を抑制することをPET画像等でクリアに証明している。副作用のために治療を中断している例もあり、用量に依存していたという。投与するタイミングは病態の初期だという。今後のさらなる臨床試験が楽しみである。多くの人が使える値段に設定されるかどうかも今後の課題である。ワクチン開発も夢ではないのだろうか。
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