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2016年5 月19日 (木)

TGF-βのガン抑制機序

TGF-βのガン抑制機序

Cellの2月号から。今井君のプレゼン。TGF-βは、ガンに対して、アポトーシス誘導という抑制的な作用と上皮間葉転換(EMT)誘導という促進的な作用の2面性があるという報告がなされてきた。本論文はその分子メカニズムと意義をクリアにした。Smad4が発現する膵がん細胞にTGF-βが作用すると、Smad2/3/4 complexの下流でSnail1の発現を誘導し、EMT(これをlethal EMTと言っている)を促進すると共に、Klf5の発現を抑制し、Klf5とSox4との相互作用がなくなり、Smad2/3の下流であるSox4によるアポトーシスが促進されるという。ゆえに、Smad4が発現していない膵がん細胞にTGF-βが作用すると、Smad2/3のみの下流が動き、Sox4の発現を誘導し、Klf5とSox4がプロモーター上で共同して、がん進行へと導くという。したがって、TGF-βによるEMTの誘導をガン促進的というように捉えるのではなく、Lethal EMTの誘導によりガンのアポトーシス誘導も働き、ガン抑制的に働くという。ガンの転移に関わる通常のEMTとTGF-β誘導のSnailを介したEMT(lethal EMT)は、質的に真逆ということらしい。

 

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