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2016年5 月26日 (木)

mTORC1がストレス時に細胞を生存させるためのメカ

mTORC1がストレス時に細胞を生存させるためのメカ

Mol. Cell 2月号より。Kojiharuのプレゼン。mTORC1 (mammalian target of rapamycin complex 1) は、タンパク質翻訳制御、リボソーム生合成制御、オートファジー抑制などを介して、細胞の分裂や生存の調節を行なっているという。異常タンパク質を除去するための仕組みとしては、オートファジーーリソゾーム経路とユビキチンプロテアソーム経路があるが、mTORC1によるプロテアソーム経路に与えるメカニズムは十分に解明されていなかった。プロテアソームには、constitutiveタイププロテアソーム (c-proteasome)とイムノプロテアソーム (i-proteasome)があり、このイムノプロテアソームは、免疫細胞に多く存在するが、他の細胞でも存在しているという。たとえば、ヒトの正常な肝、腎臓、消化管に存在するプロテアソームの内、約 30-50%がイムノプロテアソームであり、イムノプロテアソームはMHC1によって提示される抗原ペプチドの産生、タンパク質ストレス除去、分化、創傷治癒において重要な役割を担っているという。

  この論文において明らかになったことは以下の通りである。低栄養状態では、mTORC1は不活性であり、高栄養状態(ガンなど)では、mTORC1が活性化され、相互作用しているPRAS40をリン酸化され、イムノプロテアソームやタンパク質合成が促進されたという。リン酸化されたPRAS40はプロテアソームβサブユニットのβ1i、β5i、β6をPOMPに受け渡し、イムノプロテアソーム形成を促進し、タンパク質の大量産生時の翻訳ミス時などに生じた異常な構造のタンパク質の除去に関与しており、イムノプロテアソームはmTORC1異常活性化細胞の生存に関わり、mTORC1-イムノプロテアソーム経路はストレスに対して細胞がサバイバルするために重要であるという。

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