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2015年9 月17日 (木)

硫化水素は、食事制限によるストレス耐性における重要なメディエーター

硫化水素は、食事制限によるストレス耐性における重要なメディエーター

Cell 1月号から。学部3年のKawakami君のプレゼン。食事制限により寿命延長作用を有名である。そのメカのひとつがストレス耐性付与である。本論文では、食事制限時には、肝臓において、含硫アミノ酸が低下し、含硫基移動経路 (transsulfruration pathway: TSP)が活性化され、硫化水素が増加し、様々なタンパク質のスルフィドリル化が行なわれ、ストレス耐性が起こるという。このメカニズムは、マウスだけでなく、線虫、ハエ、酵母でも認められている。大変重要な論文だと思う。これまで、分子シャペロンとストレス耐性に重要であることは知られていたが、もしかしたら、スルフィドリル化タンパク質という異常タンパク質の増加が分子シャペロンを誘導して、結果的にストレス耐性を誘導しているのかもしれない。硫黄を有するN-アセチルシステインを投与すると、食事制限によるストレス耐性誘導作用は認められなくなるという。抗酸化作用は関係なかったという。N-アセチルシステインは古い薬であるが、今回の知見を下に、服用するタイミング(たとえば、カロリー摂取量が少ない時)を考えてみても面白いかもしれない。流暢なナイスプレゼン。

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