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2015年5 月22日 (金)

Long noncoding RNAが小さいペプチドをコード、これがまた重要

Long noncoding RNAが小さいペプチドをコード、これがまた重要

Cell 2月号から。寺本くんのプレゼン。筋肉の収縮弛緩の制御において、SERCAという分子は筋小胞体へのカルシウムイオンを取り込むために重要な役割をしていうことは有名であり、この分子あるいは、このSERCAを制御する分子の変異は重篤な骨格筋疾患などの原因となっている。SERCAの抑制性の制御分子として、phospholambanやsarcolipinは見いだされていたが、これらの分子は速筋以外で発現し、速筋に同様な機能を有する分子はまだ見いだされてはいなかった。今回の論文では、翻訳されないnoncoding RNAの中でも骨格筋特異的に発現するlong noncoding RNA(この定義は、100アミノ酸以上をコードするopen reading frameがないnonvcoding RNA)が実は小さいサイズ(46アミノ酸)をコードしており、それがSERCAの制御分子であったことがポイントである。この分子はmyoregulinと命名され、phospholambanの制御領域と相同性が高い分子であった。心筋においてβ1受容体を刺激した後のA kinaseが活性化されるとphospholambanの16番目のセリン残基がリン酸化され、phospholambanのSERCA抑制作用がなくなり、細胞質のカルシウムイオンの量が増えて心筋収縮力が増大することは明らかになっている。同様な制御機構がmyoregulinにも見いだされれば、骨格筋の収縮力を高める薬が見いだされるかもしれないという。今、noncoding RNAとして扱われているものにも宝が隠されていることが示されたことは大きい。分かった時点でnoncoding RNAとは言えなくなるということか。

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