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2015年4 月14日 (火)

アルツハイマー病の初期病態とミクログリアのTREM2

アルツハイマー病の初期病態とミクログリアのTREM2

Cellの3月号から。M2の沖田君の紹介。ミクログリアに発現するTREM2という分子がR47H変異しているとアルツハイマー病発症リスクが3〜4倍増加するという報告(NEJM)がある。本論文は、アルツハイマー病態におけるTREM2の役割を調べた。その結果、TREM2の欠損がアルツハイマー病態を悪化させ、ミクログリア活性の低下ももたらすことがわかった。Aβに対するミクログリア集積能や生存数も低下したという。Aβ蓄積時、神経細胞は脂質を放出することが知られていたため、TREM2のリガンドではないかと検討したところ、いくつかの神経細胞由来の脂質がTREM2を活性化すること、R47H変異TREM2では、その活性が低下したという。病態の初期における現象として、ミクログリアの活性は必要であり、病態の後期においては、ミクログリアに起因する脳内炎症が起こり、神経細胞死がより促進されるのであろう。大変意義のある研究成果と思う。

しかし、同時期のJEMに全く逆の論文が異なるグループにより発表されている。どちらが臨床病態を反映しているのだろうか?違いはTREM2 KOマウスか?

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