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2014年7 月 3日 (木)

脂肪細胞にマクロファージが滞留するメカ

脂肪細胞にマクロファージが滞留するメカ

Nature Med. 4月号から。Normanのプレゼン。高脂肪食肥満マウスならびにヒト肥満者の内臓脂肪においてNetrin-1ならびにその受容体の発現が増加していることがわかり、両分子は脂肪組織中のマクロファージにおいて発現が増加しているという。面白いことに肥満で増加する遊離脂肪酸パルミチン酸が、TNFαやIL-6とともに、この増加に関与し、Netrin-1はM1マクロファージの遊走を阻害し、オートクリン的に脂肪組織中に滞留させていることが明らかにされた。Netrin-1を血球系細胞において欠損させると肥満誘導性の全身性の慢性炎症ならびにインスリン抵抗性が改善することが明らかにされた。肥満から2型糖尿病が誘発される、最も上流のメカニズムが解明されたという話。Netrin-1は、元々、神経伸長のガイダンス因子である。2012年のNature Immunol. (2012年2月16日の本ブログにて紹介)には、Netrin-1が動脈硬化の病巣におけるマクロファージの滞留にも関与することが発表されていた。副作用の可能性の議論は必要であるが、Netrin-1をターゲットにした薬が注目を集める時代がくるかもしれない。

 

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