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2013年7 月11日 (木)

シェーグレン症候群の新たなメカ

シェーグレン症候群の新たなメカ

Immunity 3月号に掲載された論文をHarukanが初ゼミとして紹介。IkBゼータのノックアウトマウスがヒトの自己免疫疾患の一種であるシェーグレン症候群様の慢性炎症(涙腺や唾液腺など)を起こし、この原因がリンパ球活性化が一次的に関与しているのではなく、上皮細胞で起きる過剰なアポトーシスによることを明らかにし、アポトーシス阻害薬を点滴すると劇的に改善することがわかったという研究内容。特定疾患であるシェーグレン症候群は日本における潜在患者は数十万人おり、ドライアイやドライマウスを主訴とし、その原因には不明な点が多かった。IkBゼータのノックアウトマウスに正常マウスのリンパ球を移植しても炎症が起きることから、リンパ球以外の別の細胞腫の異常があることが分かり、上皮細胞特異的にIkBゼータをノックアウトしたマウスでも同様な症状が現れたことにより、上皮細胞が一次的な原因であることが分かったという話。IkBゼータの上流にあるSTAT3の特異的ノックアウトでも同様な結果が得られているという。つまり、上皮細胞の過剰なアポトーシスによって、自己反応性の異常なリンパ球が産生され、局所的な炎症が誘導されるという。気になる点は、IkBゼータの発現がマウスの唾液腺では認められないことからドライマウスは認められなかったという知見。ヒトにおけるIkBゼータの発現パターンが知りたい。しっかりとした初ゼミであった。次回も期待したい。

 

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