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2013年5 月22日 (水)

慢性アレルギーのメカ

慢性アレルギーのメカ

Immunityの3月号からIhorinの紹介。今まで、好塩基球は肥満細胞と同様にアレルギー反応の惹起に関わっていることは教科書レベルでは述べられていたが、慢性アレルギーの状態においては、好塩基球から産生されるインターロイキン4が炎症性単球に作用し、M2マクロファージへの分化が起こり、アレルギー反応の収束に働いていることをin vivoでクリアに証明したのが、今回、紹介された論文である。IgEを介したアレルギー反応として、肥満細胞における脱顆粒による即時反応、その後、数時間後に現れる遅延性の反応はよく知られていたが、数日後に起こってくる反応のメカについてはよく分かっていなかった(初期の頃のアレルギー反応を肥満細胞を無くして抑制しても数日後の反応は出現する)。今回は、この数日後に起こってくるアレルギー反応(慢性アレルギーモデル)の終焉のために、好塩基球が重要であることが明らかになったのである。これは大変重要な意味をもつ。ヒトでも同様なことが起こっているのであれば,IL-4産生抑制薬と言われるものは、数日後に現れるアレルギー反応は抑制するどころか逆に治癒を遅らせるという可能性はないのだろうか。長期間使っているとIgE量が減ってくるので、良いという解釈で良いのだろうか。もう一度、臨床における効果を見直してみると言いかもしれない。この薬は、日本でしか使われていないらしい。
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