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2013年1 月17日 (木)

筋肉や肝臓のオートファジー欠損が肥満抑制に

筋肉や肝臓のオートファジー欠損が肥満抑制に

Nature Med.の今月号の最新論文をD1のユカリンが紹介。今までの報告で、膵β細胞におけるオートファジー分子Atg7を欠損させるとインスリン産生が抑制され、致死的になることは知られていた。今回は、骨格筋や肝臓におけるAtg7を特異的に抑制すると骨格筋においてはミトコンドリアストレスを起こし、Atf4を介してFgf21というmitokineを産生されること、Fgf21は褐色脂肪細胞だけでなく白色脂肪細胞におけるUCP1発現を上昇させ、肥満を抑制すると共に、インスリン抵抗性を改善することが明らかになった。オートファジー機能と糖代謝異常との関連について新たな考えを提案している。オートファジーの欠損が一過性か持続的かによって真逆の表現型が現れるという。すなわちオートファジーの欠損は、持続時間、臓器、運動時か安静時かによって頭代謝に与える影響が異なり、従来から言われていたオートファジー欠損と糖尿病との関係は想定以上に複雑であるようである。オートファジー分子が糖代謝異常において創薬ターゲットになりうるのか、今後の研究の進展に期待したい。
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