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2012年6 月27日 (水)

てんかん発作に対するケトン食療法のメカ

てんかん発作に対するケトン食療法のメカ

Neuronの2012年5月号からの論文をMoriuchi君が紹介。日本において100万人のてんかん患者がいるという。海外では、抗てんかん薬に抵抗性を示す患者に、医師、栄養士などの厳格な管理のもとケトン食療法が行われているという。このケトン食療法は、高脂肪、低炭水化物の食事によって、血中のケトンを上昇させ、神経細胞の過剰興奮を抑制する方法であり、神経細胞におけるミトコンドリアATP感受性Kチャネルを活性化するメカによるといわれていた。この論文においては、ミトコンドリア膜においてアポトーシスを促進する分子であるBADがリン酸化されるとヘキソキナーゼを活性化し、グルコースをグルコース6リン酸に代謝し、解糖経路を介してエネルギー産生を亢進していること、このBADをノックアウトしたり、リン酸化されないBAD変異体をもつマウスはてんかんに抵抗性を示すこと、このようなマウスにおいてケトン代謝が亢進していること、さらには、BADノックアウトマウスのてんかん抵抗性はミトコンドリアATP感受性Kチャネルを活性化するというメカニズムを介していることを明らかにしている。ケトン食療法の詳細は、日本小児神経学会のホームページを参考にしたら良いですね。糖尿病に用いられるミトコンドリアATP感受性Kチャネル阻害薬がもし中枢に移行したらてんかん発作を誘導するのだろうか。また、ミトコンドリアATP感受性Kチャネル開口薬を脳に移行させると発作を抑制できるのだろうか。10年くらい前にはそのような基礎研究がトライされていたらしい。

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