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2012年4 月17日 (火)

アレルギー疾患と抗生物質投与の関係

アレルギー疾患と抗生物質投与の関係

以前より、抗生物質の持続的な投与により、腸内細菌叢が乱され、アレルギー症状が出現しやすい、あるいは悪化しやすいことは知られていた。今回のNature Medicineの4月号の論文では、そのメカニズムをより詳細に明らかにしている。紹介者はIhorin。マウスに抗生物質を投与する、あるいは無菌環境で飼育すると、MyD88依存性にIgE産生が増え、骨髄中の好塩基球前駆細胞の分化が促進され、好塩基球が増える。この好塩基球は多くのIgE抗体を結合し、アレルギー反応を増強する。このように腸内細菌はTh2サイトカイン依存性の炎症やアレルギー疾患を抑制しているという。杉花粉症などのアトピーが昭和30年代後半くらいから増えてきていることの一因として、高度成長に伴う大気汚染などが原因ではとの話はありましたが、丁度、この年代は医療機関で抗生物質を多用し初めていた時期でもある。さらには、常にきれいな環境での生活を求められていた時期でもある。だからどうするかと考えてみると、幼い頃から自然の中で泥まみれになりながら育っていくことが一番であろう。ただ、どの年齢の時期に自然の環境で過ごせばよいかも重要かもしれない。

 

OBのFUKUDA氏からのコメントが送られてきましたので以下に記します。好酸球の観点からの視点も併せて考えられますね。

面白い報告ですね。衛生状態が良くなって腸内寄生虫が減り始めたのも抗生剤を使い始めた時期と近いのではないでしょうか? 抗生剤はIgE-好塩基球の経路から、腸内寄生虫減少は好酸球セオリーの経路からアレルギー増強に関与していたのでしょうか?
 
以前は生涯免疫という概念がありましたが、最近は崩れつつありますね。このことも公衆衛生が進んだ結果だと考えられています(自然ブーストの機会が減った)。細菌やウイルスとは適度に触れ合っておくのが大切なのでしょうね(共存共栄?)適度というのが難しいのでしょうが・・・。」

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