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2012年2 月15日 (水)

血小板がガン転移の主役 or 脇役?

血小板がガン転移の主役 or 脇役?

Cancer Cell 2011年11月号から。創薬生命薬科学3年の亀ちゃんのgoodプレゼン。ガンの転移には、上皮間葉転換という現象が関わっていることはよく知られている。上皮細胞としての性質が失われて、線維芽細胞としての性質を持つようになることがガンの転移において重要であるということである。ところが、血液中へ移行した細胞は、まだ上皮細胞としての性質を維持しており、初期の刺激だけでは上皮間葉転換が不十分であると言われていた。今回の論文では、血液中へ移行したガン細胞に対して、血小板由来のTGFβ1が作用すると共に、血小板が直接ガン細胞に接触することにより、ガン細胞の上皮間葉転換が促進されるという。TGFβ1の下流ではSmad pathway、血小板が直接作用するとNFkB pathwayであり、NFkBの抑制によりガンの転移が抑制されるという。再度、まとめると、原発巣からガンが血液に移行する際に微小環境の影響による上皮間葉転換が必要であるが、血液中に移行中あるいは移行した後に、逆の間葉上皮転換により、ガン細胞の他の組織への浸潤能が低下することも起こりうるが、血液中の血小板が上皮間葉転換を促進あるは維持することにより、他の組織への浸潤能を高いガン細胞を維持している。さて、副作用を考慮しながら、創薬をどう考えるか。血小板凝集抑制薬を使ったらどうなるだろう。色々と興味が湧いてくる。

 

 

 

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