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2012年1 月13日 (金)

精子のミトコンドリアの運命

精子のミトコンドリアの運命

ミトコンドリアは好気性細菌でリケッチアに近いαプロテオバクテリアが真核細胞に共生することによって獲得されたと考えられている。ミトコンドリアのDNAは母親のミトコンドリアDNAを引き継ぐことはよく知られているが、これは、同種交配の場合卵子に入った精子のミトコンドリアが選択的に排除されてしまうからだという。大昔のアフリカのある女性が、今の人類の全てのミトコンドリアについての「母親」であったことが判明し、この女性は「ミトコンドリア・イブ」と呼ばれている。

今日の朝ゼミは、昨秋、新聞で取り上げられていた精子のミトコンドリアが受精後、消滅していくメカニズムが明らかにされたという内容 (Scienceに連報)。異なるグループがそれぞれ同じ結論を導いているから信頼性が極めて高い。線虫を用いて、精子のミトコンドリアが受精後、しばらくしてオートファジーによりなくなっていくことを明らかにしているが、母由来のミトコンドリアはオートファジーのターゲットにならないところが面白い。なぜ、精子のミトコンドリアだけがターゲットになるのかの一つの説明として、精子の激しい運動により精子のミトコンドリアが疲弊しており(酸素ラジカルの蓄積?)、母由来のミトコンドリアと区別されるのではないかという。ただ、面白いことに、実験的に異種交配させた受精卵では、精子由来のミトコンドリアを排除するプロセスが失敗する場合があるという。不思議だ。M1のShoちゃんのナイスプレゼンでした。

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