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2011年7 月13日 (水)

細菌増殖を抑えるメカ

細菌増殖を抑えるメカ

Nature Med 2011年6月号から。M2のTomy。学部3年からスタートした朝ゼミプレゼンも13回目で、落ち着いた分かりやすいプレゼンでした。実験も平行して実施しながら、短期間でプレゼンの準備する能力は今後も役に立つ。

 

PGRP (or PGLYRP: peptidoglycan recognition protein) というタンパク質が細菌の増殖を抑え、殺菌していることは知られていたが、そのメカニズムはわかっていなかった。この論文では、グラム陽性菌の分裂部にPGRPが作用し、細菌のCpxAに結合し、CpxRを介して遺伝子発現制御やラジカル産生などを介して細胞死を起こすということをクリアに示している。グラム陽性菌にはペプチドグリカンが細胞表面に多いためCGRPは分裂期の分裂部のみに作用し、グラム陰性菌はペプチドグリカンが少ないため、CGRPは菌の外膜全体に結合し、作用するという。抗生物質が細菌に作用し、増加したミスフォールディングタンパク質がCpxA-CpxRにより菌増殖を抑制するという。さらには、ペプチドグリカンの合成を抑制する抗生物質を作用させると、PGRPが菌にアクセスしやすくなり、協調して、相乗的に抗菌活性を示しているのかもしれない。耐性菌に対する対応にも活かせる研究成果か。lysozymeが、グラム陰性菌だけでなくグラム陽性菌にも作用するメカも説明できるかも。

 

PGRPの産生が低下する生体側の状況はありうるのだろうか、興味がある。PGLYRP-1は白血球、−2は肝臓、血中、−3,4は皮膚、目、唾液腺、舌、喉頭、食道、胃、腸に発現しているという。

 

 

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