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2011年6 月21日 (火)

アディポネクチンの新たな作用メカ part2

アディポネクチンの新たな作用メカ part2

2011年 Cell Metabolism 4月号から。Miki chan.

アディポネクチンがインシュリン感受性を高めるメカニズムとして、マクロファージ由来のIL-6が肝臓における IRS-2発現上昇が関与していることを明らかにした論文。従来,IRS-2のノックアウトで糖尿病を発症しうることは知られていた。また、アディポネクチンの受容体 AdipoR1,R2のダブルノックアウトでも糖尿病が起こることは知られていた。さらに、アディポネクチンは内臓脂肪型肥満において発現が低下していることも分かっていた.本報告では、アディポネクチンの効果に、今まで糖尿病悪化因子として注目されていた炎症性サイトカインIL-6の一過性の上昇がポジティブに関与していることなど、興味深い研究成果が紹介されている。面白いのは、IL-6の慢性的な発現上昇が糖尿病の悪化に、一過性の上昇は糖尿病の改善に関与するということ。今後は、マクロファージ上に存在すると思われる、アディポネクチンの新たな受容体とは何だろうか。TLRか。

 

2011年の4月12日の朝セミナーの話題も「アディポネクチンの新たな作用メカ」

その時の論文は、「肝臓においては、炎症性サイトカインにより、セラミドが増え、Aktの活性化が抑制され、インスリン抵抗性が亢進しているが、アディポネクチンが受容体を介してセラミダーゼを活性化することにより、セラミドを減少させるとともに、セラミドの代謝産物であるスフィンゴシンがPDK1を介してAktを活性化して、インスリン抵抗性を改善する。」という内容。

さらに、「セラミドはTLR4を介したインシュリン抵抗性を引き起こすこともわかってきている。アディポネクチンの抗炎症作用はセラミドの減少によるのではないかととも考えられている。」

 

本日の論文の内容とこの内容を関連づけて考えると、様々なステップで効果的に作用する内因性のアディポネクチン量を如何に維持するかが代謝性疾患の予防に重要であることを示している。大学附属病院と日赤健康管理センターで実施した、バイオメトロノームを用いたメタボ対象者(N=40)に対するクロスオーバー臨床試験で、週4回、1回1時間の処置を3ヶ月継続することで、内臓脂肪の減少とともに、血液中のアディポネクチンが上昇、慢性的に産生されている血液中の炎症性サイトカインの減少を引き起こし、全身の症状を有意に改善するというデータは、これらのメカニズムの報告と絡めると納得いく。

 

 

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