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2011年4 月12日 (火)

アディポネクチンの新たな作用メカ part1

アディポネクチンの新たな作用メカ part1

本日の7時半のセミナーの話題は、代謝性疾患において重要な役割を果たすアディポネクチンの作用メカニズムを明らかにした、Nature Medicine 2011年 1月号の論文から(Kosuke 創薬生命4年生)。アディポネクチンには、受容体が2種類あり、AdipoR1, R2に作用することにより、まず、セラミダーゼを活性化することが作用本体であるというのが結論。

 

肝臓においては、炎症性サイトカインにより、セラミドが増え、Aktの活性化が抑制され、インスリン抵抗性が亢進しているが、アディポネクチンが受容体を介してセラミダーゼを活性化することにより、セラミドを減少させるとともに、セラミドの代謝産物であるスフィンゴシンがPDK1を介してAktを活性化して、インスリン抵抗性を改善する。

 

肝臓以外の組織においては、アディポネクチンによりセラミダーゼを活性化された後、スフィンゴシンが産生され、さらに、SphKを介して、S1Pが生成してくる。S1PはオートクリンでS1P受容体に作用し、細胞内のCaイオンの上昇、CAMKKの活性化を介して、AMPKを活性化するという。このAMPK活性化は、肝臓以外(膵臓β細胞、心筋など)の組織において、アポトーシスを抑制する。肝臓では、S1Pは分解が早いからではAMPKを介していないのではないかという。

 

セラミドはTLR4を介した抗インスリン作用を有することもわかってきている。アディポネクチンの抗炎症作用はセラミドの減少によるのではないかととも考えられている。

 

それぞれのターゲット組織(細胞)におけるセラミダーゼを活性化することは代謝性疾患(炎症性疾患)の予防•治療薬になりうるのだろう。我々の研究室の、最適化した微弱電流と温熱刺激(バイオメトロノーム)が細胞(膜)に対して作用し、セラミダーゼが活性化しているのであれば、今まで基礎、臨床で得られている様々な効果を説明できるかもしれない。

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