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2011年3 月25日 (金)

「にが茶」の特徴が論文として受理

「にが茶」の特徴が論文として受理

 今朝、論文受理の連絡がありました。商品化した熊本の特定農園産の鹿角霊芝の研究内容をまとめたものです。タイトルは「Lucidenic acids-rich extract from antlered form of Ganoderma lucidum enhances TNF-alpha induction in THP-1 monocytic cells possibly via its modulation of MAP kinases p38 and JNK.」です。日本語訳では、「鹿角霊芝からのルシデニン酸類が豊富な抽出物が、おそらくMAPリン酸化酵素であるp38とJNKの制御を介して、単球細胞株THP-1におけるTNFαの産生を増強する。」です。1週間後にはPubMedで公開されます。漢方薬に含まれる生薬が産地によって活性が異なることは良く知られていました。今回の研究成果の意義は、生薬の品質保証、産地保証を可能にし、かつ、地域貢献できたということでしょう。しもかわ薬局全店舗、大学附属病院恵和会売店、熊大生協売店、高濱薬局(松橋)、岡田薬局(水前寺)などなど、じわりじわりと普及してきています。漢方薬と同様に考えて、体質的に合う人は愛飲してもらえれば良いのかなと思っています。今回のプロジェクトのように、昔から良いと言われているものをどうやって科学的に裏付けていくかも現代の研究者に課せられた重要な課題です。

 

要旨の和訳

 霊芝は免疫制御活性を有することが報告されている、古来のキノコの一種である。霊芝に含まれるβグルカンの効果については多くの報告があるが、その他の成分、例えばトリテルペンが霊芝の免疫制御活性にどのくらい寄与しているかはほとんどわかっていなかった。本研究では、鹿角霊芝のトリテルペン類を豊富に含む抽出物が単球系細胞株THP-1におけるTNFα産生を促進することを示した。さらに、その抽出物が、免疫を活性化するLPSと併用するとそのTNFα産生を増強することを示した。面白いことに、その抽出物は、LPS誘導性のp38のリン酸化を促す一方、活性化されたJNKは抑制した。p38の阻害剤はTNFαの産生は抑制するが、JNKの阻害薬は促進することから、この抽出物はp38とJNKをうまく制御することにより相乗的な効果を示すことが示唆された。さらに、詳細な成分分析から、本研究で用いた鹿角霊芝の抽出物は、トリテルペンの中でもルシデニン酸を多く含み、特にルシデニン酸A,F,D2が多いことが分かった。そして、ルシデニン酸AがJNK抑制作用を示し、ルシデニン酸Fがp38活性化作用を示すことが分かった。以上、鹿角霊芝からのルシデニン酸類が豊富な抽出物が、おそらくMAPリン酸化酵素であるp38とJNKの制御を介して、単球細胞株THP-1におけるTNFαの産生を増強することを明らかにした。

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