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2010年12 月 3日 (金)

良薬口に苦し

良薬口に苦し

Nature Med. 11月号。By Jurian

この知見は、面白い。苦みの受容体が数多く報告されているが、その中のいくつかは気道の平滑筋に発現しており、苦味成分により気管支が拡張するということが分かった。使われている苦味成分の濃度は高いが、気管支拡張剤であるβ刺激薬との併用により、相乗的な効果を示すだけでなく、拡張の程度はより大きいという。メカニズムまで明らかにしているが、苦いものはどれでも作用を示す(構造活性相関がないのか)らしい。昔から、良薬口に苦しということを科学的に裏付けたような知見でもあり、News & Viewでも取り上げられている。マウスへの投与法は吸入であり、既存の吸入用のβ刺激薬の中でも苦みがあるものは、効果がより明確に出るというような臨床的な知見でもあるともっと面白い.

 

本研究室では、熊本産鹿角レイシの産学官共同研究をやっているが、近々、大学ブランド商品として発売しようとしている鹿角レイシ100%「にが茶」の含有成分にも苦味受容体に作用するものもあるのかもしれない。気管支拡張作用等を調べてみても面白い。

 

武田のFukuda君からCystic fibrosisに対する治療薬の最新情報の便りがあった.本研究室で長年やっている難病治療プロジェクトのひとつでもあるが、ひとつひとつの地道な基礎研究の積み重ねの中から患者さんに朗報がもたらされて行くことを期待したい。

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