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2010年11 月16日 (火)

うつ病とセロトニン受容体

うつ病とセロトニン受容体

今朝は、M1のトミーがScience Translational Medicineからうつ病の新たな治療法に関する論文を紹介してくれた.うつ病には、SSRIが汎用されているが、30%の患者が耐性を示したり、1年以内に40-50%の患者に再発が見られるなどの問題点があるという。脳内のセロトニン量を増やす薬の開発は多いが、セロトニンの受容体5-HT1Bの発現を上げるという試みはなかった。様々なイオンチャンネルの細胞膜上発現に関わるp11という分子がうつ病発症に関わっていることがわかってきた。ある種の抗うつ薬では、p11の発現をある程度増加させること、ノックアウトマウスはうつ病症状を示すこと、さらに、今回の論文では、側坐核のp11の発現をアデノウイルスベクターで増減させることによりうつ病症状をコントロールできること、うつ病患者の側坐核のp11発現量が50%低下していることなどが明らかになってきている。論文で提起されている治療法は、アデノ随伴ベクターを用いて、側坐核にp11を強制発現させるという遺伝子治療であり、現在、パーキンソン病の治療で実施されている手法の応用であるが、うつ病は環境的な影響で起こりやすいことを考えると、エピジェネティックな発現変化がp11で起こっており、そこに関わる酵素をターゲットにした治療薬の開発も可能であるかもしれない.また、取り急ぎ、臨床の現場で取りうる方法としては、p11の発現を増加させるという抗うつ薬とSSRIを併用するという処方も有効であるかもしれないなどと考えはつきない。

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