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2010年1 月14日 (木)

肺高血圧症治療に光が--。

肺高血圧症治療に光が--。

今朝は、fukuda君が昨年11月号のNature Med.の内容を紹介した.相変わらずハイレベルの落ち着いたプレゼンであった。肺高血圧は低酸素負荷により肺小動脈の血管平滑筋細胞の過剰増殖が起こり,血管が肥厚し、肺動脈の血圧が高くなる病気である。米国では,年間2万人がこの病気で死亡するという.ここ10年の研究で大きな進展があった分野であり,Notch3シグナルが低酸素負荷により肺小動脈の血管平滑筋細胞の過剰増殖に中心的に関与していること、そして、その阻害薬であるDAPT(γセクレターゼ阻害薬)が有効であることが極めて美しく示されてきた。その集大成が本論文と言っても過言ではない.γセクレターゼ阻害薬はアルツハイマーの分野で注目を集めているが、副作用の問題があった。今回は,脳で作用させるのではなく、全身の血液が集積する肺動脈の血管だから、ドラッグデリバリーはeasyだろう(脳をターゲットにするより投与量が少なくてすむ)。本論文では,副作用(消化管系)は見られなかったというが、投与ルートが皮下投与であったことも一部関与しているかもしれない.何れにせよ、promising な知見が多い論文であり,今後、実施される可能性がある、γセクレターゼ阻害薬の肺高血圧症に対する臨床試験が楽しみである.PubMedでγセクレターゼ阻害薬の臨床試験の動向を調べたら、アルツハイマーを標的にした試験がいくつか行われていることがわかる。例:日本でのPhase I

アルツのPhase Iで安全性が確かめられたら,方向転換して,肺高血圧症に苦しんでいる患者でPhase IIを実施してもらえないだろうかーー。
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